日藝とは 日藝賞
在学生、教職員などが中心となって選考する「日藝賞」は、著しく日藝の名声を高め、
その業績が社会に貢献し、芸術を志す学生に夢を与える人物に贈られています。
各界に多彩な人材を輩出していることで知られる日藝。特にメディアやクリエイティブの世界には出身者が多く、仕事を介して同級生や先輩・後輩と偶然に出会うケースも多いようです。そんな事実に着目し、校友とのつながりを深めるために創設されたのが『日藝賞』。全ての日藝出身者を対象にその年に最も活躍した人物を独自に表彰することで、出身者への敬意を表すとともに、在学生への励みとしています。まだ形になっていない表現への衝動を、よりよいカタチで表現してほしい。そのためのフックになれば…。そんな「遊び心」が現れた日藝ならではの賞なのです。
第8回 日藝賞
日藝賞は、日藝の校友とのつながりを深めることを目的として、2006年に創設されました。授賞対象は、中退者も含め、かつて日藝に在籍していたことのある人すべて。また、活躍分野は一切問いません。在校生、教職員、校友会役員などによる投票で候補者が選ばれ、日藝賞選考委員会が業績などを審議して決定します。
第8回となる今回は、歌手の松崎しげる氏と写真家の坂田栄一郎氏が受賞しました。松崎氏は、在学中にソロ歌手としてデビュー。明るいキャラクターと圧倒的な歌唱力で、世代を超えて愛されています。また、坂田氏は、卒業後に広告会社に勤務したのち、1966年に単身渡米。ニューヨークで写真の腕を磨きました。1970年に初の個展を開催して以来、精力的に活動を続けています。授賞式は、2014年4月4日の芸術学部入学歓迎式の中で行われ、日藝賞選考委員長の野田慶人学部長より、お二人に記念の賞状、名前が刻まれたトロフィーなどが贈られました。
松崎 しげる 歌手
栄えある賞に感謝し、さらなる励みに。
1949年生まれ、当年とって65歳の僕が日藝に入学したのは、学生運動が盛んだった1968年でした。そんな時代に大学生活を送り、1970年にデビューしてから今日まで、いつも何かにチャレンジしてきました。そして今、こうして母校のステージに立ち、栄えある賞をいただけることに感謝しています。日藝は、一人ひとりが自分の個性を思い切り活かせます。そういう個性の大学です。ですから、これから日藝で4年間を過ごす皆さんは、何か一つ目標を持ってください。「今、これだ!」と思うことに、思い切りチャレンジしていただきたいと思います。日藝賞の受賞にあたっては、同級生や諸先輩方から、たくさんのありがたい言葉を頂戴しました。僕も、この賞に恥じないよう、これからもますます頑張り、チャレンジしていきたいと思います。ありがとう!
PROFILE
1949年、東京都生まれ。1968年、文芸学科入学。1970年に『8760回のアイ・ラブ・ユー』で歌手デビュー。1972年にはチョコレートのCMソング『黄色い麦わら帽子』が大ヒット。1976年、スペインのマジョルカ音楽祭において『愛の微笑』で第2位入賞。1977年、『愛のメモリー』が爆発的ヒットとなり、日本レコード大賞歌唱賞受賞。第28回NHK紅白歌合戦にも初出場を果たす。俳優としても活動しており、TVドラマ『噂の刑事トミーとマ
●楽曲:『8760回のアイ・ラブ・ユー』(1970年)、『黄色い麦わら帽子』(1972年)、『愛のメモリー』(1977年)、『火の鳥』(1978年)、『ワンダフル・モーメント』(1979年)、『夏の恋人』(1990年)、『グッド・バイ・マイ・ラブ』(1993年)、『あの輝きを忘れない』(1994年)、『MY FAVORITE SONGS』(2005年)●TVドラマ:『噂の刑事トミーとマツ』(1979年・TBS)、『銀河TV小説 明日はどっちだ』(1983年・NHK)、『お金がない!』(1994年・CX)
坂田 栄一郎 写真家
一日ひとつ感動して前進を!
各界に素晴らしい人材を輩出する日藝の、栄誉ある賞をいただき、誠にありがたく思います。光栄であると同時に、面映ゆい気がしています。僕は、4年間日藝で学んだあと1年間広告会社に勤め、ニューヨークへ渡りました。ニューヨークでは、画家や作家、劇作家などさまざまな分野の人たちと交流を持ちましたが、その中で特に強く印象に残っているのは、画家のアンディ・ウォーホルの「一日ひとつ感動したい」という言葉です。この言葉が深く胸に刻まれ、自分自身そう思って生きてきました。これからも、いつも何かに感動し、新鮮な気持ちで新しいことに挑戦したいと思っています。皆さんも、どんな小さなことでもいいので、常に感動を持って前進してください。前へ前へと進み、4年間たくさんのことを学んで社会に出てください。
PROFILE
1941年、東京都生まれ。1961年、写真学科入学。卒業後、広告制作会社に勤務の後、1966年に渡米。写真家リチャード・アヴェドンに師事する。1970年、銀座ニコンサロンで初個展「Just Wait」開催。1993年、写真界の大型国際イベント「アルル国際写真フェスティバル」(フランス)に招待され、個展とワークショップを開催。2004年、東京都写真美術館で個展「PIERCING THE SKY―天を射る」開催。2013年、原美術館で個展「江ノ島」開催。週刊誌『AERA』(朝日新聞出版)の表紙写真を、1988年の創刊号から現在まで撮り続けている。
●写真集:『注文のおおい写真館』(流行通信社・1985年)、『Talking Faces』(六耀社・1990年)、『PIERCING THE SKY―天を射る』(求龍堂・2004年)、『JUST WAIT』(求龍堂・2006年)、『LOVE CALL―時代の肖像―』(朝日新聞出版・2008年)●受賞歴:アルル名誉市民賞(1993年)、平成17年度日本写真協会作家賞(2005年)、第24回土門拳賞(2005年・PIERCING THE SKY―天を射る)