日藝とは 日藝賞
在学生、教職員などが中心となって選考する「日藝賞」は、著しく日藝の名声を高め、
その業績が社会に貢献し、芸術を志す学生に夢を与える人物に贈られています。
各界に多彩な人材を輩出していることで知られる日藝。特にメディアやクリエイティブの世界には出身者が多く、仕事を介して同級生や先輩・後輩と偶然に出会うケースも多いようです。そんな事実に着目し、校友とのつながりを深めるために創設されたのが『日藝賞』。全ての日藝出身者を対象にその年に最も活躍した人物を独自に表彰することで、出身者への敬意を表すとともに、在学生への励みとしています。まだ形になっていない表現への衝動を、よりよいカタチで表現してほしい。そのためのフックになれば…。そんな「遊び心」が現れた日藝ならではの賞なのです。
第11回 日藝賞
日藝賞は、日藝の校友とのつながりを深めることを目的として、2006年に創設されました。授賞対象は、中退者も含め、かつて日藝に在籍していたことのある人すべて。また、活躍分野は一切問いません。在校生、教職員、校友会役員などによる投票で候補者が選ばれ、日藝賞選考委員会が業績などを審議して決定します。
第11回となる今回は、海上自衛隊東京音楽隊のソプラノボーカリストである三宅由佳莉氏と、放送作家・脚本家の小山薫堂氏が受賞。
三宅氏は、YouTubeにアップされた動画が話題となり、「海自の歌姫」として知られるようになりました。その澄んだ歌声は、自衛隊の式典や災害復興の慰問演奏会などにおいて人々の心を癒しています。また小山氏は、情報バラエティを中心とした数々のテレビ番組の企画・構成に携わられてきたほか、2011年ゆるキャラグランプリ王者の「くまモン」の生みの親でもあります。
授賞式は、2017年4月5日の芸術学部入学歓迎式の中で行われ、日藝賞選考委員長の野田慶人学部長より、受賞されたお二人に、記念の賞状、名前が刻まれたトロフィーなどが贈られました。
三宅氏は、受賞式に先立つ入学歓迎式典において『You Raise Me Up』を歌唱し、後輩となる新入生を美しい歌声で祝福。小山氏は残念ながら欠席となりましたが、氏が代表を務めるオフィスに所属する放送作家の内田和久二氏が代理で出席され、小山氏が「自分の企画の原点である『サプライズ』は、日藝時代に培われた」と語ったエピソードを披露してくださいました。
三宅 由佳莉 海上自衛隊 ボーカリスト
日藝の卒業生であることの誇りを持って任務をまっとうしていきます。
このたびは、本当にありがとうございました。このように素晴らしい賞をいただき、心より嬉しく思っております。私は、音楽学科の学生として、空手道部員として、ここ日藝で4年間を過ごさせていただきました。自衛隊初の歌手となった今、ここで学んだことすべてが日々の活動に活かされています。これからも日藝の卒業生であることの誇りを持ち、自分の任務をしっかりとまっとうしていきたいと考えています。ご入学されました新入生の皆さま、大いに楽しみ、学び、そして自分の夢に向かって羽ばたいてください。応援しております。
PROFILE
1986年、岡山県生まれ。2009年、音楽学科声楽コースを卒業後、海上自衛隊に入隊。自衛官としての基礎訓練終了後、東京音楽隊にボーカリストとして配属される。2013年、東日本大震災をテーマとした楽曲『祈り』がYouTubeにアップされたことで話題となり、『祈り〜未来への歌声』でCDデビュー。オリコンチャートのクラシック部門で2週連続1位を獲得する。クラシックからアニメのテーマソングまで、ジャンルにとらわれない歌声は多くの支持を集めているが、中でも東京音楽隊オリジナル作品を中心とした「歌と吹奏楽」という新たなスタイルへの取り組みは、多方面から高く評価されている。
●アルバム:『祈り〜未来への歌声』(2013年)、『希望〜 Songs for Tomorrow』(2015年)、『響け!ブラバン・ヒーローズ』(2016年)●受賞歴:第55回日本レコード大賞企画賞・第28回日本ゴールドディスク大賞クラシック・アルバム・オブ・ザ・イヤー・第6回CDショップ大賞クラシック賞(2013年)
小山 薫堂 放送作家
いつかは...と願っていた日藝賞。卒業して30年目の受賞に喜びと感謝。
卒業してちょうど30年目の節目に、栄えある賞をいただけるとは思ってもいませんでした。これまで獲得した賞の中で、最も嬉しい賞かもしれません。本当にありがとうございます。
今、日藝で学んでいる皆さんのことをとても羨ましく思います。なぜなら皆さんには「可能性」という大きな財産があるからです。大学はたくさんのチャンスを作ってくれます。特に日藝には他の大学以上のチャンスが転がっていることを、多くの人は卒業後に気づきます。だからこそ、自分から学ぶ姿勢が大切です。学生生活の中で日々起こる全てのことを自分にとっての学びに変えて、その才能を開花させてください。一緒に仕事ができる日を楽しみにしています。
PROFILE
1964年、熊本県生まれ。1987年、放送学科卒業。在学中から放送作家として活動を開始。『料理の鉄人』『世界遺産』など 数多くの番組の企画・構成を手掛けてきた。また、脚本、作詞、エッセイなど幅広い創作活動を行う一方、熊本県地域プロジェクトアドバイザーを務め、熊本活性化プロジェクト「くまもとサプライズ」を企画し、2010年、アートディレクターの水野学氏とともにゆるキャラ「くまモン」を世に送り出す。ほかに、文化庁日本遺産審査委員会委員、京都館館長など多方面で活躍。クリエイターズオフィスN35,inc.代表。
●TV企画・構成・脚本:『カノッサの屈辱』『ニューデザインパラダイス』(以上フジテレビ)、『トリセツ』(テレビ朝日)、『東京ワンダーホテル』『未来予報201X』『ZIP!』(以上日本テレビ)、『恋する日本語』(NHK総合)●映画脚本:『おくりびと』(2008年)●受賞歴:第81回アカデミー賞外国語映画賞・日本アカデミー賞脚本賞(『おくりびと』2009年)、第24回くまもと県民文化賞特別賞(2014年)など。