日藝とは 日藝賞
在学生、教職員などが中心となって選考する「日藝賞」は、著しく日藝の名声を高め、
その業績が社会に貢献し、芸術を志す学生に夢を与える人物に贈られています。
各界に多彩な人材を輩出していることで知られる日藝。特にメディアやクリエイティブの世界には出身者が多く、仕事を介して同級生や先輩・後輩と偶然に出会うケースも多いようです。そんな事実に着目し、校友とのつながりを深めるために創設されたのが『日藝賞』。全ての日藝出身者を対象にその年に最も活躍した人物を独自に表彰することで、出身者への敬意を表すとともに、在学生への励みとしています。まだ形になっていない表現への衝動を、よりよいカタチで表現してほしい。そのためのフックになれば…。そんな「遊び心」が現れた日藝ならではの賞なのです。
第17回 日藝賞
今年度第17回日藝賞に映画監督・脚本家の藤井道人さんが選ばれました。
日藝賞は、著しく日藝の名声を高めその業績が社会に貢献し芸術を志す学生に夢を与える人物に贈られます。選考対象は、中退者も含めかつて日藝に在籍していたことのある人すべて。活躍分野は一切問いません。在校生、教職員、校友会役員などによる投票を基に決定します。
藤井 道人 映画監督・脚本家
この度は、本当にありがとうございます。
18年前、日本大学芸術学部に入学した僕は、映画のことを何も知らない少年でした。『二科目で入学できて、映画学科って何か楽そう!』そんな軽い気持ちで入学した僕でしたが、入学してすぐに映画の虜になりました。出会った先生方、仲間たちのお陰で、今も映画を作る喜びを感じることが出来ている毎日です。
正直学生時代の僕は、決して褒められた生徒ではなく、ろくに授業も出ずにサークルの仲間たちと自主映画ばかり作っていました。これは、大人になって非常に後悔しています。映画は、終わりのない百科事典のようなもので、学んでも学んでも終わりがないからです。もっと早くから映画を学んでおけばと後悔することは大人になってもしばしばあります。
一方で、そのお陰でかけがえのない仲間たちにも出会いました。その仲間たちと『BABEL LABEL』という会社を作り、いまだにサークルの延長戦上のような生活をしています。少しばかり歳をとってしまったせいか、昔ほど無邪気ではなくなってしまいましたが、生涯の仲間に出会わせてくれたのも、日藝でした。
僕には唯一、一人だけ師匠と呼べる人がいます。脚本コースの青木研次先生です。
授業が教室で行われることは一度もなく、トレボンという近くの喫茶店で、世間話をします。たわいもない話でした。
しかし、そのたわいもない話の中に、ドラマがあり、人生があり、脚本があることを今になってより実感します。
僕が、30歳の時に撮影中の映画が中止になったとき、真っ先にメールをくれたのも青木先生でした。『腐るなよ、トラブルイズマイビジネス』この言葉に僕は救われて、『青の帰り道』という映画は完成しました。卒業しても、沢山のかたに助けられて今の自分がいます。
これからは、自分が誰かのためになれるように、卒業生として母校の発展に尽力したいと思っています。
ありがとうございました。
PROFILE
1986年生まれ。東京都出身。日本大学芸術学部映画学科卒業。大学卒業後、2010年に映像集団「BABEL LABEL」を設立。伊坂幸太郎原作『オー!ファーザー』(2014年)でデビュー。以降『青の帰り道』(18年)、『デイアンドナイト』(19年)、『宇宙でいちばんあかるい屋根』(20年)、『ヤクザと家族 The Family』(21年)、など精力的に作品を発表。2019年に公開された『新聞記者』は日本アカデミー賞で最優秀賞3部門含む6部門受賞をはじめ、映画賞を多数受賞。
2022年にはNetflixオリジナルドラマ『新聞記者』で再び監督を務める。同年に公開された映画『余命10年』では興行的にも大ヒットするなど、常に時代性に合った話題作を生み続けている。2023年は映画『ヴィレッジ』、『最後まで行く』の公開を控えている。
●長編映画
『青の帰り道』(2018)、『デイアンドナイト』(2019)、『新聞記者』(2019)、『宇宙でいちばんあかるい屋根』(2020)、『ヤクザと家族』(2021)、『余命10年』(2022)、『ヴィレッジ』(2023)、『最後まで行く』(2023)など。
●短編映画
『DIVOC-12『名もなき一篇・アンナ』』(2021)、『MIRRORLIAR FILMS『名もなき一篇・東京モラトリアム』』(2022)など。
●ドラマ
カンテレ/フジテレビ『アバランチ』(2021)、Netflix『新聞記者』(2022)、ABC/テレビ朝日『封刃師』(2022)、カンテレ/Netflix『インフォーマ』(2023)など。
●アニメーション
Netflix『攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争』(2021)
●MV
RADWIMPS『うるうびと』、millennium parade『FAMILIA』、宇野実彩子『最低な君にさっきフラレました』、清原果耶『今とあの頃の僕ら』、amazarashi『未来になれなかったあの夜に』など。
●CM
資生堂 レシピスト『一緒にスキンケア』篇、MINE×NIVEA 『本谷有希子の答とは』など。