日藝とは 日藝賞
在学生、教職員などが中心となって選考する「日藝賞」は、著しく日藝の名声を高め、
その業績が社会に貢献し、芸術を志す学生に夢を与える人物に贈られています。
各界に多彩な人材を輩出していることで知られる日藝。特にメディアやクリエイティブの世界には出身者が多く、仕事を介して同級生や先輩・後輩と偶然に出会うケースも多いようです。そんな事実に着目し、校友とのつながりを深めるために創設されたのが『日藝賞』。全ての日藝出身者を対象にその年に最も活躍した人物を独自に表彰することで、出身者への敬意を表すとともに、在学生への励みとしています。まだ形になっていない表現への衝動を、よりよいカタチで表現してほしい。そのためのフックになれば…。そんな「遊び心」が現れた日藝ならではの賞なのです。
第16回 日藝賞
今年度第16回日藝賞にグラフィックデザイナー・中村至男さんが選ばれました。
日藝賞は、著しく日藝の名声を高めその業績が社会に貢献し芸術を志す学生に夢を与える人物に贈られます。選考対象は、中退者も含めかつて日藝に在籍していたことのある人すべて。活躍分野は一切問いません。在校生、教職員、校友会役員などによる投票を基に決定します。
中村 至男 グラフィックデザイナー
このたびは、多様なジャンルが響き合う日藝で、グラフィックデザインに光を当てて頂き、本当にありがとうございました。
もう30数年前、まだ考えも浅く空っぽの僕は、本来そんなに頑張れる人間ではありませんでした。しかし入学するや、まるで映画アベンジャーズのように、次々と現れる強い同級生たちに助けられ、しだいに感化されていきました。クラスには秋山具義くんはじめ実力派が揃い、写真学科の三橋純くん、浅川英郎くんなど。同世代のリアルな才能を目の当たりに、デザインや将来への興味を馳せました。
池袋の街を最新ポスターを見てまわり、公募の落選に落ち込んではミスタードーナツに入りびたる。そんな無計画で豊かな時間を過ごせたのも、江古田を軸に、共に切磋する仲間たちがいたおかげと、今こそわかります。
大きく世界が変わる時代に、くしくも我々は表現に関わろうとしています。この果てしない仕事に出会えた日藝、火をつけてくれた同級生、先生方に、改めて感謝申し上げます。そして、日藝生の皆さんが、ここで一生ものの時間を過ごしてくれることを願っております。
PROFILE
川崎市生まれ。1990年美術学科卒業、Sony Music Entertainmentを経て1997年よりフリーランス。グラフィックデザインを中心に、広告、絵本、CI、デジタルコンテンツ、映像、イラストレーション、ブックデザインなどで活動。
2019年、台北 松山文創園區にて初の海外個展『中村至男自選展』を開催。ほか国内外で展覧会多数。
●著書
絵本『どっとこどうぶつえん』『はかせのふしぎなプール』『たなのうえひこうじょう』『ゆきだゆきだ 』『サンタのコ』。『7:14』、『勝手に広告』(佐藤雅彦氏と共著)、『明和電機の広告デザイン』(土佐信道氏と共著)など。
●主な仕事
21_21 DESIGN SIGHT「単位展」、アートユニット「明和電機」のグラフィックデザイン、銀座メゾンエルメスウインドウディスプレイ、日本科学未来館、雑誌『広告批評』(1999年)、佐藤雅彦氏とのプロジェクトに、PlayStationゲーム『I.Q』、NHKみんなのうた『テトペッテンソン』など。
●受賞
毎日デザイン賞、亀倉雄策賞、東京ADC賞、東京TDC賞、最も美しいドイツの本2019、ニューヨークADC銀賞、ボローニャ・ラガッツィ賞優秀賞など。